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2020/05/18

米道利成氏インタビュー/従来のソーシャルレンディングの課題をブロックチェーン技術で解決し、資産形成の門戸を広げる / インタビュー

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近年ソーシャルレンディングという言葉が注目を集めている。

ソーシャルレンディングとはお金を借りたい企業と、お金を貸したい個人とをマッチングさせるサービスのことである。投資や貸付というと元手が多く必要だと思いがちだが、ソーシャルレンディングであれば1万円程の少額から貸付を行うことができる。

元手が少なくても貸付できる特徴から、今まで資産運用に縁がないと思っていた人々にも門戸が広がると期待されており、アメリカでは2025年の市場規模が15兆円を超えるとの予想もある。日本国内でも複数の企業がソーシャルレンディングサービスを提供している。

今回の記事ではソーシャルレンディングの課題を解決し、次世代の金融プラットフォームを立ち上げることを目指す株式会社LBIの代表取締役である米道利成 氏にお話を伺った。

ソーシャルレンディングシステム:「BANKNEXT」ローンチ予定

「弊社は第ニ種金融商品取引業と貸金業の資格を持っています。これは金融業としては大きな柱です。匿名組合など金融商品の募集をし、必要なところにお金をお貸しすることを主業としています。今までファンドの募集なども行っていたのですが、これからはソーシャルレンディングに力を入れていきます」

「現状はソーシャルレンディングが出来る会社が国内にまだ多くない中で2つの資格を有しており、財務局とお話させていただいていてソーシャルレンディングに取り組める状態を作っております。あとは、システムのリリースを待つのみです」

「すでにシステム自体は完成していて、BANKNEXTという名前でローンチ予定です。『銀行の次に来るもの』という意味の名前にしました。この領域にはすでに複数の企業が参入していますが、弊社は他の企業様と比べて主に2点大きな特徴があります。それはESG投資と長期のレンディングです」

将来のために責任を持つ:ESG投資

「弊社のソーシャルレンディングでは、ESGを意識した投資、貸付を行っていきたいと考えています」

ESGとは「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」の頭文字をとったものである。ESG投資は環境・社会・企業統治に配慮している企業を選出して投資を行うものであり、近年欧米の投資家を中心に注目を集めている。

「弊社が重視するESG投資はまだ世の中で評価しきれていないのだと思います。どれくらい役に立っているのか。それは大手の投資家さんや投資顧問の中でもまだ定まっていない。ESG投資というのは自分の将来の社会に対して責任を持つことです。だからこそ、自分たちが働きかけられる一歩目としてのESG投資の入り口になりたいと考えています」

また、ESGを意識することに加えて、従来のソーシャルレンディングの課題の解決も目指している。

ソーシャルレンディングの課題:貸付期間が短い

「従来のソーシャルレンディングには弱い部分がありました。それは、どうしても期間が短くなってしまう、つまり借りている人も、貸している人も3ヶ月や6ヶ月というものが圧倒的に多いのです。借りている人は成果を出すのを焦ることになりますし、運用したい人にとっても、3ヶ月ですぐに次の貸し先を考えなくてはいけない。借りる人も貸す人も、安定して運用したいというニーズが多いです」

今までのソーシャルレンディングが長期で貸付できない理由は、ファンドであり契約が発生することにある。同社は長期での貸付を可能にするため、ブロックチェーン技術を使って権利の譲渡を可能にしていくと言う。

ブロックチェーン技術を使って貸付期間の課題を解決する

「ソーシャルレンディングはファンドなので、契約になり、途中で中止すると言えません。そこに流動性をつけることによって、運用する人には1年、2年規模でのレンディングを始めることが可能になります。つまり、途中で匿名組合契約であるとか、自分の権利を他人に譲れば良いのです。匿名組合は最初から最後まで持ち続けなくてはいけないのですが、譲渡できる体制をとれば貸付期間も長くなります。そうすれば、貸している人も3ヶ月と言わず、長ければ3年の貸付ができる状態を作れます」

「貸付という事業自体はアナログで、昔からあるものですが、そこから少し未来形になるためにブロックチェーン技術を使ってより安全・安心に譲渡できる形を作っていくことが会社としての使命だと思っています」

ブロックチェーン技術を導入するに当たって、従来の金融が紙ベースであったことへの課題感もあると言う。

「従来の金融は紙が基本です。なぜ紙から離れられないかと言いますと、偽造の防止や、法的要件が紙ベースなことが挙げられます。それらを乗り越えるためには、書き換えられない技術としてのブロックチェーンは非常に大切になります」

「実は、今の紙ベースでも登記などは要件さえ満たせば書き換えられてしまうので、完全ではありませんでした。そのあたりも理解した上で、ブロックチェーン技術は安全な技術だと認識しており、確実に全員で確認し、譲渡していく技術を持ち込むことが必要だと思っています」

今後のビジョン:

最後に米道氏はソーシャルレンディングに加えて、AIやeKYCなどを含めた総合金融プラットフォームになり、多くの人の資産形成に寄与できるようになりたいと語った。

「ソーシャルレンディング市場はアメリカなどに続き、日本でもまだまだ伸びると信じていますし、借り主も、貸主も広がっていくと思っています。そこで弊社は安全で、相手が見えることで貸付先を広げていける土台になっていきたいです」

「世の中の人の多くは銀行口座を持っていても、証券口座を持っていないことが多く、そこには大きな溝があります。それを考えると、多くの人が証券の世界に参加できる環境を提供しなくてはと感じます。より敷居を低くして、参加しやすくして、様々な選択肢を皆様に提供するのが弊社の役割です」

「また弊社が目指す最終的なものは資産を作るためのブロックチェーン技術を使ったプラットフォーム化です。その中で債権のデジタル化、eKYCによつ個人認証のデジタル化、運用に関してはAIの導入を早めに取り込んで、より多くの方にパーソナライズされた資産運用を自動的に提案できるようになりたいと考えています。老後2000万円問題なども話題になりました。資産運用をして、資産を蓄える必要のある時代にお役に立てればと考えています」