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新株予約権(ストック・オプション)とは

ストック・オプションとは

ストック・オプションとは新株予約権のうち「企業と雇用関係にある使用人のほか、企業の取締役、会計参与、監査役及び執行役に準ずる者」に対して労働の対価として付与されるコール・オプションのことをいいます。

新株予約権とは、ある条件のもとで自社の株式を行使価格で購入できる権利のことをいいます。たとえば、行使価格100円の新株予約権をもっていれば、株価が150円の時にその新株予約権を行使すると50円(150円-100円)の利益を得ることができます。ちなみに、新株予約権という用語は平成13年11月商法改正から用いられるようになりました。

コール・オプションとは「一定の金額の支払いにより、原資産である自社の株式を取得する権利」のことをいいます。まさしく上記のように、株価が行使価格よりも高いときに権利を行使することができます(権利であって義務ではないので権利として行使しない自由もあります)。

なぜストック・オプションを発行するのか

企業は、ストック・オプションを発行することで役員・従業員の労働意欲や企業への忠誠心を高めることが可能となります。ストック・オプションは株価が上がれば上がるほど価値が高まります(たとえば行使価格が100円であれば、株価が150円よりも株価が200円のほうが役員や従業員が受ける経済的便益が大きいことが分かります)。

よって、ストック・オプションを発行することで役員や従業員は会社の株式価値を高めようと努力するようになる可能性が高まると考えられます。

また、優秀な人材を確保するためにストック・オプションを発行することが考えられます。特にベンチャー企業は優秀な人材の確保が至上命題です。かといって潤沢なキャッシュフローのあるステージではないので人材確保に苦しむケースが多く見られます。そこで業績によっては大きな利益が得られるストック・オプションを発行することで優秀な人材を確保しやすくなるといえます。

ストック・オプションの公正価値とは

平成17年12月27日に「ストック・オプション等に関する会計基準」と「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」が公表されたことによりストック・オプションが費用計上されることになりました。

そのために、ストック・オプションの公正価値を算出する必要性が出てきました。先ほど述べたようにストック・オプションはコール・オプションですので、金融工学で利用されるオプション評価方法を利用することが必要となってきます。適用指針においてもブラック・ショールズ式や二項モデル等の金融工学において一般的に利用されている手法によりストック・オプションを評価する必要性がある旨明記されています。

確かにシンプルなストック・オプションであれば上記の方法でオプション料を査定することが可能です。しかしながら、勤務条件や業績条件といった権利確定条件やその他の条件がついた複雑なストック・オプションはブラック・ショールズ式や二項モデルのみで公正な価格を算出することができません。そこで、勤務条件や業績条件といった権利確定条件をモンテカルロ・シミュレーションに組み込んで公正な価格を算出することが必要となってきます。こうした手法を使いこなすためには、金融工学に関する素養が必要となってきます。

ストック・オプションの公正価値を算出するための具体的な手法は次のようになります。まず、ストック・オプションの公正価値は「公正な評価単価+ストック・オプション数」になります。つまり、公正価値とストック・オプション数を算出する必要性があります。

そのためにまず公正価値を算出するためにオプションに共通な前提条件を設定する必要があります。これらの条件が確定できればブラック・ショールズ式等で公正単価を算出することが可能となります。ブラック・ショールズ式(コール・オプションの場合)は次のようなかたちをしています。

ブラック・ショールズ式

そしてこのブラック・ショールズ式によってコール・オプションの価格を算出するための6つの条件は、(1)オプションの行使価格、(2)オプションの満期までの期間、(3)算定時点における株価、(4)株価変動性(ボラティリティ)、(5)配当、(6)無リスクの利子率 となります。

この前提条件の中で最も重要なものが(4)の株価変動性(ボラティリティ)です。株価変動性というのは、平均値からのばらつきの度合いの指標です。統計学で標準偏差といわれている指標と同じものです。この指標は上記の6つの条件の中でもっとも恣意性の余地のある条件であり慎重に計算する必要性があります。適用指針では、過去の株価実績に基づく予測(ヒストリカル・ボラティリティ))を基礎としつつ、(1)株価情報を収集する期間 (2)価格観察の頻度 (3)異常情報等の要因を考慮することとされています。この株価変動性が大きい株価ほどストック・オプション価値は高くなります。

さきほど述べたように、ストック・オプションの公正価値は公正な評価単価+ストック・オプション数となります。ストック・オプション数については、権利確定条件によって失効すると考えられる失効の見込み数を控除する必要性がでてきます。

そこで、モンテカルロ・シミュレーションといわれる手法を用いて株価の推移のシミュレーションを行う必要性があります。そのひとつの例が下記のようなものになります。こうした株価過程(パス)を発生させて失効の見込み数を算出し、公正価格の算出に利用することになります。

未上場企業における、上場企業のストックオプション評価の違い

ストック・オプションの公正価値は本源的価値と時間的から成り立っています。未上場企業のストック・オプション評価は上場企業と異なり本源的価値のみの評価で足りるということになっています。

本源的価値というのは、「評価時点の株価 -行使価格」のことです。図の一番下のグラフが本源的価値を表しています。時間的価値というのは、権利行使までに株価の動きによってオプションの評価が高まる「チャンス」と捉えると分かりやすいでしょう。図の青と赤のグラフが時間的価値も考慮されたストック・オプションの公正価値となります。そして、満期が長いほうが時間的価値が大きいことが分かります。

上記のことから、未上場企業の場合は行使価格を評価時点の株価と同じかそれ以上に設計すれば費用0でストック・オプションを発行することが可能となるのです。これは成長段階にある企業にとっては好都合な取り扱いといえます。

株式/新株予約権(ストックオプション)評価業務